【現地レポート⑧】踏み出した偉大な一歩──京都両洋
2022年12月24日
長く洛南と東山の 2 強と呼ばれてきた京都府の男子勢。そこに割って入ろうと、多くのチームが挑んだが 2 強の壁を越えるのは容易なことではなかった──。
「SoftBank ウインターカップ2022令和 4 年度 第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会」、その牙城を崩して初めての全国出場を成し遂げたチームがいる。京都府第 2 代表として出場した京都両洋である。
府予選では洛南には敗れたものの、東山を 90-78 で下し最終戦の京都精華学園戦にも勝利。決勝リーグ 2 勝 1 敗で 2 位通過を決め、ついに歴史を変えてみせたのだ。
初めての全国大会、初戦の相手は全国常連の桜丘 (愛知②)。一筋縄ではいかない強敵だ。試合は序盤から桜丘が先行する形となり京都両洋は緊張からか、イージーショットのミスやターンオーバーが重なり、第 1 クォーターを終えて 5-17 と重い立ち上がりに。
「浮き足立ってしまったというのと、フィジカルにディフェンスを頑張ろう、オフェンスで軽いプレーをしないようにしようと話をしていたのが、逆に重さにつながってしまったと思います」とは瀬戸山京介コーチ。
洛南、東山という百戦錬磨の猛者たちと戦って全国レベルの試合は何度も経験している。しかし、「全国レベルの相手と試合をする」ことと「全国大会で試合をする」ことはまったく違うのだ。
エースの #11 森弥月も「京都府内の試合とは全く雰囲気が違いました。会場が凄すぎて最初はもう頭が真っ白で…。何をしたらいいんやろうって感じでした」と全国の雰囲気にのまれてしまっていた。
それでも、2 クォーター中盤付近からは徐々に硬さも取れ、「狙っていた」という得意の早い展開を何度も演出。結果だけを見ればほとんどの時間帯で桜丘に 2 桁前後のリードを奪われてしまった。しかし、最大 3 点差まで詰め寄り最終スコア 74-79 という大接戦に持ち込んだ事実は、京都両洋の実力を示すのに十分なものだったと言える。
「ウチらしい試合だったと思います。出だしが悪くて、そこから我慢してカムバックしたけれど最後は力尽きました。1 本来れば絶対にウチの流れになるからと選手たちにも話していましたが、それがちょっと遅かったですね。でも、本当に選手は最後までよく戦ってくれたし、僕としてはすごく充実した時間を過ごすことができました」。そう語った瀬戸山コーチの表情は晴れやかだった。
#11 森も「1 年生の頃からずっと京都のベスト 4 で、決勝リーグでは一度も勝つことができていませんでした。悔しい思いをしていたからこそ、最後の大会で全国に行けたのは高校生活で一番の思い出でした」と悔しさはあるが、後悔はない。
彼らが踏み出した偉大なる一歩は必ず未来につながっていくはずだ。