【現地レポート⑥】歩みを止めずに日本一を目指した安城学園の 1 年間
2022年12月24日
「SoftBank ウインターカップ2022令和 4 年度 第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の 2 日目、女子は 2 回戦が行われシード校が登場した。
第 2 シードの大阪薫英女学院に挑んだのは安城学園。大阪薫英よりガード陣に高さがある安城学園は、試合ではそこを突いてリング下での攻撃を試みたのだが、「相手もそうならないように高い位置から (ディフェンスを) 仕掛けていて、それを私たちが打開できませんでした」 (堀智美コーチ) と、思うような攻めができず。逆にうまさと強さのある大阪薫英にじりじりと点差をつけられてしまい、最後は 67ー98 で敗退した。
「組み合わせが決まってからこの日のために一か月間、全員で準備してきました。でも、最初に私が堅くなってしまい、前半はミスが多くてチームに迷惑かけたので、すごく後悔しています」と、試合を振り返ったのは安城学園の #6 永野紗弥香。試合ではチーム最多の21得点を挙げたものの、永野は自身のミスを悔やんだ。
大阪薫英とは、8 月末に「U18日清食品トップリーグ2022 (女子) 」で対戦。このときも敗れはしたが、点差は11点に留まった。しかし今回は、大阪薫英に98得点を献上してしまっての敗戦。「(練習で) 薫英対策をしてきましたが、思うようにはいかなかったし、相手はインターハイ準優勝。すべてにおいて相手が上回っていたのかなと思います」と、堀コーチは肩を落とした。
今年、安城学園は春先に指揮官が交代となり、それまでアシスタントコーチだった堀コーチが急遽、メインで指導にあたり、試合でも指揮を執ることとなった。
「すぐに話をしたり、相談をしたりしてくれる選手たち。『変わらずに日本一を目指していきたい』と言ってくれたので、方向性に関してはブレることなく 1 年間取り組むことができました」と、堀コーチはこれまでのことを振り返る。
永野も、「自分たちで考えてやっていくスタイルの中、堀コーチとも信頼関係はすごく強く、団結力やチームワークが良くなっていったと思います」と、チームの成長を語った。
実際、日々の練習から選手たちが積極的に練習メニューについて提案をしていたようで、堀コーチも「なるべく選手たちがやろうとしていることを尊重してやってきました」という。
また、チームにとっては先に挙げた「U18日清食品トップリーグ2022」の存在も大きかった。「自分たちが日本の中でどういうレベルにあるのか。やっていることがあっているのか、間違っているのかを実感できないない中で練習をするのは難しいのですが、定期的に試合が組まれているトップリーグを戦うことで自分たちのレベルを知ることができました」と、堀コーチ。さらに、「何よりも選手の自信につながり、それがこういった (ウインターカップのような) 大きな舞台でも緊張せずに試合に入れたのだと思います」とも付け足した。
「技術面でも精神面でも 3 年間を通して向上したし、仲間にも恵まれた楽しい 3 年間でした。安城学園に入学して良かったと思います」
悔し涙を流しながらも、安城学園での 3 年間を語った永野の表情には充実感が漂っていた。
環境が変わった中でも目標を見失わずに歩みを止めなかった安城学園。 「高さのある選手全員が走り回るといったプレースタイルは大きく変えずに、新チームでもそれぞれの個性を引き出しながら、頑張っていきたいです」と、堀コーチは次への抱負を語る。それと同時に、最後は 3 年生への感謝の思いを言葉にした。
「本当に 1 年間、チームを引っ張ってくれて『心からありがとう』と言いたいです」