【現地レポート⑤】「野生児」のままで――茨城・土浦日本大学#10檜山凛々華
2022年12月24日
「野生児」とは女子高生に対してあまり穏やかな表現ではない。しかし取材用に報道陣に公開されている各校が回答した「広報アンケート」には確かにそう記されている。本人も「普段から周囲に『身体能力が高いよ』と言われていて、リバウンドでは気持ちでめげずに、いろんなところから飛び込むところからそう呼ばれているんです」と認める。土浦日本大学 (茨城) の #10 檜山凛々華選手のプレースタイルは確かに野性味の溢れるものである。少なくとも前日までは……
「SoftBank ウインターカップ2022 令和 4 年度 第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の女子 2 回戦、土浦日本大学は福岡大学附属若葉 (福岡) と対戦し、63-65 で敗れた。
檜山選手は15得点・2 リバウンド。得点面ではけっして悪くない数字だが、彼女の役割はリバウンドである。前日は 5 つのオフェンスリバウンドを含む 8 リバウンドを獲ってチームに勝利を呼び込んだが、今日はそれが鳴りを潜めてしまった。
「前半は自分自身に打ち勝てなくて……自分の……実力不足が目立ってしまいました」
涙をこらえながら試合を振り返る檜山選手。自分よりも高さとパワー、そして学年でひとつ上回るセンターを相手に、ディフェンスで後手を踏み、おのずとベンチにいる時間も多くなってしまった。
「守り方の指示はあったんですけど、そのとおりに足を動かせなかったり、対応がしっかりできていませんでした」
ベンチに下がってからも、自分の不出来に落ち込むばかりで、コートにいるチームメートをすぐに応援できていなかったと悔やむ。
それでも「野生児」としての気持ちだけは失っていなかった。「リバウンドは自分の仕事なので、後半までしっかりやり続けようと思っていました」と気持ちを切り替え、後半のパフォーマンスにつなげた。けっして満足のいく数字ではないだろうが、少なくとも自分の持ち味を完全に失うまでの試合にはしなかった。
檜山選手はまだ 2 年生。同じくスタメンとして今日の試合に出ていた #7 岡﨑真依選手や #12 飯田苺選手らとともに来年は最上級生となる。この敗戦をどう生かすか。檜山選手は目の前の悔しさを湛えながらも、来年に思いを向ける。
「相手がどんなに大きな選手でも飛び込みリバウンドは自分の持ち味だと思うので、そこは伸ばしていきたいです」
高校 3 年生になれば大人への階段をまた一歩昇り、あるいは今よりも洗練された女性になっていくのかもしれない。ただ、少なくともコートの上では「野生児」のままでいてもらいたい。それがチームをより高みへと導く大きな推進力になるはずだ。