【現地レポート①】最初で最後の全国大会、一戦一戦大切に──北海道・札幌山の手
2022年12月23日
「SoftBank ウインターカップ20212令和 4 年度 第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会」がついに開幕した。
女子 1 回戦の第 1 試合に登場した札幌山の手 (北海道①) は、兵庫県代表の三田松聖と対戦。エースの #4 森岡ほのかを起点に得点を積み上げ、105-51 で快勝し明日の 2 回戦へと駒を進めた。
序盤からエンジン全開でチームをけん引したのは #4 森岡で、第 1 クォーターだけで 3 本の 3 ポイントシュートを含む13得点をマーク。ティップオフ直後こそやや硬さが見られた山の手だったが、エースの活躍によって徐々に硬さがほぐれていったように感じられた。#4 森岡は大会の入り方、そして試合結果について以下のように振り返っている。
「大会の初戦はとても大事で、入りが悪ければ次の試合にもつながってきません。試合の出だしから終わりまで全員で走ること。自分たちの武器は走ることなので、走ってガンガン点を取りにいこうという気持ちで試合に入りました。結果としては自分達が走れている時間はいい流れでできていましたが、走れない時間や相手がディフェンスをゾーンに切り替えた時間帯にうまくコントロールできませんでした。(次の試合では) そういうときにすぐにアジャストできるようになればいいと思います」
結果だけを見れば大勝でトーナメントの入りとしては悪くなかったが、その中にも明確に課題を見つけ次戦に生かす。#4 森岡にもチームにも決して油断はない。
それには夏の悔しい出来事が起因しているのだろう。札幌山の手はインターハイの出場権を獲得していたが、コロナの関係で出場を辞退。特に 3 年生にとっては年に 2 回しかない全国の舞台で戦うチャンスを逃してしまったことはショックだったはずだ。
ただ、「インターハイに出られないと決まったときは、一つの貴重な経験をなくしてしまったので悔しかったです。だからこそ、ウインターカップに懸ける思いはみんな強くて、この 1 年間でディフェンスを中心に頑張ってきました」と、失われたチャンスを冬につなげるべくチームの精度を高めることにフォーカスしてきた。
上島正光コーチは事あるごとに時計を止めながら、選手たちを細かく指導。その日々は、「連係面でうまくつながるようになってきた」(#4 森岡)という言葉どおり、この試合でも特にディフェンスでダブルチームを仕掛けるタイミングやバックドアの合わせといった部分に確かな成果として表れていた。
スタッツを見ても、#4 森岡の41得点を筆頭に、#10岡井遥香が18得点に 8 つのスティール、ベンチ出場の #6 野原一華は特にトランジションで輝きを放ち13得点、3 スティール、2 年生の #14 谷口憂花も合わせのプレーから13得点と挙げるなど、7 選手が 6 得点以上を挙げる活躍。エースが #4 森岡であることは変わらないが、チームとして細部まで突き詰めてきたからこそ、エースを支えるまわりの選手が着実にステップアップしているのだ。
札幌山の手にとってはこのウインターカップが今年、最初で最後の全国大会。結果を追い求めつつ、「1 試合 1 試合を大切にみんなで声を出しながら楽しんでいきたい」と #4 森岡は言う。2 回戦の相手は済美 (愛媛②)。チーム一丸で楽しんで、そして勝利を目指す。