ウインターカップ2022 第75回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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【現地レポート⑰ / 女子決勝】新時代は私たちの未来だ――京都精華学園、ウインターカップ初優勝!

2022年12月28日

 この夏に公開されたアニメ映画と、先月カタールでおこなわれた FIFA サッカーワールドカップに共通されるワードがある。“ 新時代 ” だ。前者はその主題歌として、後者は日本代表を率いる監督の言葉として、表されている。
 そしてまた高校バスケットボールの世界でも――

「SoftBank ウインターカップ2022 令和 4 年度 第75回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の女子決勝戦が終わった。京都精華学園 (京都①) が札幌山の手 (北海道①) を 99-81 で下して、初のウインターカップ女王に輝いた。

 京都精華学園は序盤から #4 イゾジェ ウチェを中心にした分厚い攻撃で札幌山の手を圧倒。札幌山の手も31得点の #4 森岡ほのかを中心に粘り強く戦ったが、前半のビハインドが大きく、後半に入っても付け入る隙を見せない京都精華学園を捉えることはできなかった。

「選手たちが本当に苦労に苦労を重ねて、毎日努力をしてくれました。私はその後ろをついて歩いていただけなのですが、このような素晴らしい結果を引き出してくれました。心から選手たちに感謝しています」
 チームを率いる山本綱義コーチ (*今大会の登録はアシスタントコーチ) はそうコメントしている。イゾジェの高さが目を引く京都精華学園だが、#5 柴田柑菜、#12 八木悠香、#13 堀内桜花らのタレントも高い。彼女たちもまたそれぞれに努力を重ね、それをチーム力に昇華させたことが今大会最大の勝因だと言うわけである。

 一方の札幌山の手は上島正光コーチが「今日は出だしから重たい展開で、選手たちも決勝戦の雰囲気に慣れてないところがありました。そのため人とボールが動く札幌山の手のバスケットが、特に前半はうまくいきませんでした」と振り返る。それでも後半、「勝敗は別にして札幌山の手のバスケットをやろう」と送り出したことが、結果論ではあるが、後半の20分だけを見たときに、京都精華学園を上回る成果へとつながったのだろう。

 それぞれの思いは交錯するが、お互いが最後まで走る展開を厭わず、むしろそれをベースに戦い続けたことが見る者を惹きつけるハイスコアの女子決勝戦になったのは間違いない。

 SoftBank ウインターカップ2022の女子は幕を下ろしたが、出場選手たちの “ 新時代 ” はここから始まる。上述のイゾジェ、森岡、さらに都野七海 (大阪薫英女学院)、横山智那美 (桜花学園) ら 7 人の高校生がアーリーエントリー選手として、2023年 1 月 6 日から W リーグのコートに立つことができる。今大会で活躍した選手たちが新しいステージでどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、楽しみである。

 シャンソン化粧品 シャンソンⅤマジックでのアーリーエントリーが決まっている京都精華学園のイゾジェは自らの新しい時代に向けて、こう言っている。
「一番忘れない (ようにしたい) ことは、走る体力をもっとつけることです。Wリーグには身長の高い選手もたくさんいるけれど、私がもっと走りきれる選手になれば誰にも止められない (と思う) から、その意識を持って取り組みたいです」

 日立ハイテク クーガーズでのアーリーエントリーが決まっている札幌山の手の森岡もまた、来るべき新時代を自らの手で切り拓こうとしている。
「個人技ではもっと 1 対 1 を積極的に行ける場面もありましたし、課題の多く残る大会になったと思います。でも課題が残ったということは次の成長につながると思うので、その課題をクリアできるように、次の舞台でも成長していけるように頑張りたいです」

 もちろん彼女たちだけではない。大学へ進む選手、専門学校へ進む選手、社会へと飛び込む選手、そして新しいチームで来年度のウインターカップを目指す下級生たち……それぞれが新たな “ コート ” で、これまで培った力を存分に発揮してもらいたい。
 新時代は彼女たちの明るい未来である。

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